2006年9月7日
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キヤノンの「PowerShot A710IS」。 |
キヤノンの“PowerShot A”シリーズは、同社のスタイリッシュコンパクトモデル“IXY”(イクシー)シリーズよりも大きめのボディーながら、握りやすいグリップや大口径レンズ、入手しやすい単3電池による駆動、カメラの基本を学ぶのに適したマニュアル露出を初めとした撮影機能などを装備する普及モデルのコンパクトデジタルカメラ。最新モデルにあたる「PowerShot A710IS」は、光学式手ぶれ補正と光学6倍ズームレンズを装備した強力モデルに生まれ変わった(関連記事)。
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光学ファインダーを収納するために上面を曲面にしているほか、シャッターボタンもやや前傾しているなど従来のPowerShotとは異なるデザインが取り入れられている。 |
ボディーはAシリーズに共通する大きめのグリップと沈胴レンズという構成だが、前から見ると正方形に近かった従来のAシリーズから比べてやや横長になり、同じ6倍ズームレンズを搭載する「PowerShot A700」(2006年3月発表モデル)と比べても横幅で3mm大きくなっているほか、光学ファインダーのスペースを稼ぐためか上面やゆるやかなカーブを描くようになった。ここ数世代のPowerShot Aシリーズはスクエアボディーでコンパクトという印象が強かっただけに好みが分かれるところだが、従来はフラットな上面の延長された部分にシャッターボタンあったのに対し、グリップ部の前傾した部分にシャッターボタンが設けられてボタン自体もやや前に傾いているなど、エルゴノミクス的なデザインが取り入れられている。
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大きなモードダイヤルと電源ボタン、シャッター周囲のズームリングなど操作系はPowerShotシリーズ共通。 |
若干大型化したとはいえ、電源OFF時は鏡胴周囲のリング部まで沈胴する機構を持ち、グリップよりも前に出る部分がなくて、携帯性は驚くほどよい。また、レンズ鏡胴部のリングは本体左下にあるボタンを押しながら回せば簡単に外すことができ、オプションのアダプターを介して別売オプションのコンバージョンレンズ(ワイド約0.7倍とテレ約1.75倍)などを装着できるのは、従来と同様だ。
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沈胴したレンズはグリップとほぼ同じ高さなので携帯性は意外とよい。インターフェースは左側面のラバー蓋の下に集中する。 |
背面の操作系もAシリーズから変更なく、上面のモードダイヤル、スライド式の撮影/再生モード切替、カーソルキー中央にFUNC(撮影時設定を集約したサイドバータイプのメニュー)と周囲にある露出補正/DISP/MENU/プリント予約が使いやすくレイアウトされている。撮影機能はモードダイヤルによる各種シーンプログラムやマニュアル露出(シャッター速度優先/絞り優先/マニュアル)など従来どおり。IS機能は撮影時/常時/流し撮り(上下方向の動きのみの補正)と、PowerShot S2 ISや同 S3 ISと同等機能を持つ。
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電池とメモリーカードはグリップ部に下面から装着される。三脚孔が左側にオフセットされているのはやや残念。 |
基本機能こそ従来機を継承するものの、細かい部分を見るとさまざまな機能強化が図られている。撮影時には暗いシーンで液晶パネルのバックライトが自動的に明るくなってフレーミングを容易にする“ナイトビュー機能”や、再生時に最後に見た画像が表示される“再生レジューム”、先送り/巻き戻しするためにカーソルを押し続けていると10枚/100枚/日付単位でジャンプする機能、アイコンや文字の改良など、細かな機能アップが見られ使いやすくなっている。特に面白いのは再生時の“縦横自動検知機能”だ。もともとPowerShot/IXYシリーズには位置センサーが搭載されていて、撮影時にカメラの縦横を検出して再生時には常に正位置で表示されるようになっているのだが、本機では再生時にもこの機能が働くためカメラの向きに合わせて画像が自動で回転し、縦に持っても横に持っても正位置に表示される。もっとも、これが有効に働くシチュエーションというのはあまり想像できず、デジタルカメラに必須の機能とは言えないが、このように細部に渡ってインターフェースの改良や模索が図られており、高画素化やIS(光学式手ぶれ補正)の追加だけにとどまらない姿勢には好感が持てる。
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レンズ部左下にあるボタンを押しながらレンズ周囲のリングを回すと簡単に取り外すことができ、オプションのアダプターを介してコンバージョンレンズなどを装着できる。 |
ホールド感のあるグリップを採用しつつ、ちょっと大きめなコンパクトデジタルカメラ用ポーチにも入るというボディーは実に手軽だ。普段の持ち歩きカメラとしても無理なく使えるため、予備電池を含めて旅行にも携行できる手ぶれ補正付き高倍率コンパクト機として重宝しそうだ。撮影結果はIXY/PowerShotシリーズに特有のしっかりとした発色とコントラストになっている。
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IXY/PowerShotに搭載するDIGIC II画像処理エンジンだけに、逆光下でもしっかりとした色味となりつつ空などハイライト部分が白とびしにくいなど、露出や発色は良好。絞り優先AE、1/250秒、F4.5、ISO 80。広角側で撮影。元画像は3072×2304ドットで、640×480ドットにそれぞれリサイズとトリミングしているのみでそのほかの補正はかけていない。 |
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Sample01と同じアングルを望遠側で撮影。10〜12倍ズームの望遠機が増えてきたが、光学6倍程度でも十分活用できる。絞り優先AE、1/80秒、F4.8、ISO 80。最大望遠で撮影。 |
レンズ描写に関しても、光学12倍ズームレンズを搭載するPowerShot S3 ISではエッジの着色や周辺部のゆがみなどが見られたのに対し、光学6倍ズームの本機では光学系の無理も少ないのか周辺部やハイコントラストのエッジも極めて安定している。
しかし、ISO 800の高感度撮影を使って夜景を撮ってみると、かなりノイズが載ってしまった。高感度撮影は三脚などの用意がない場面での緊急用と考えたい。なお、露光時間が短い場合はそれほどノイズは目立たないので、昼間の望遠撮影をする際にシャッター速度をさらに上げるといった用途で感度を上げるならば十分使えそうだ。
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光学式手ぶれ補正は単にぶれないというだけでなく、意図的にシャッター速度を遅くして動いているものをぶれさせたい(動き感のある絵作りにしたい)ときなどにも有効だ。絞り優先AE、1/30秒、F6.3、ISO 100。 |
また、不満点として光学ファインダーが見づらく、覗き込んでも被写体がかなり小さく見えてしまうことが挙げられる。もともとPowerShot Aシリーズは初心者向けということもあって、シリーズを通して安定した撮影を可能にするべく光学ファインダーを標準搭載している。しかし、最新機種に至っては液晶ディスプレーの大型化によってファインダーユニットが圧迫され、さらに高倍率ズームに対応するなどして視認性は下がってしまったようだ。光学ファインダーに顔を押しつけるようにしてカメラを固定するのは、撮影技術の向上やデジタル一眼レフへのステップアップに避けては通れない手法だ。それだけに光学ファインダーを省略してしまうのは惜しいが、コンパクトさを優先するあまりに望遠機のようなEVF(電子ビューファインダー)になるのも必要以上なボディーの大型化や、被写体を直視する感覚を覚える入門機としては避けたいもの。判断は微妙なところだが、個人的にはボディー全体の高さが若干増えてでもより見やすい光学ファインダーを搭載してほしかったと思う。
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高感度撮影と光学式手ぶれ補正の組み合わせによって暗い場所でも驚くほどぶれなく撮影はできるものの、ISO 800ではやはりざらつきが目立つ。できればISO 400程度までを使いたい。プログラムオート、1/10、F2.8、ISO 800。 |
小型軽量でスリムなIXYシリーズ、高機能のPowerShot Sシリーズの間にあって、コストパフォーマンスに優れた普及機として、より凝った撮影も可能な入門機として使い勝手のよさが特徴だが、さらに光学式手ぶれ補正機構が付いたことで望遠撮影をカバーしつつ気軽に撮れるオールマイティなデジタルカメラに成長したと言える。
| PowerShot A710 ISの主なスペック |
| 製品名 |
PowerShot A710 IS |
| 撮像素子 |
有効約710万(総約740万)画素 1/2.5インチCCD |
| レンズ |
光学6倍ズーム、f=5.8〜34.8mm(35mmフィルムカメラ換算時:35〜210mm)、F2.8〜4.8 |
| 静止画撮影 |
最大3072×2304ドット |
| ISO感度 |
オート、ISO 80/100/200/400/800相当 |
| 動画撮影 |
640×480ドット/30fps、AVI(MotionJPEG圧縮) |
| 液晶ディスプレー |
2.5インチ低温ポリシリコンTFT液晶パネル(約11万5000画素) |
| 記録メディア |
SDHD/SDメモリーカード/MMC、16MBメモリー付属 |
| インターフェース |
USB 2.0、AV出力、DC入力(ACアダプターはオプション) |
| 電源 |
単3電池×2(アルカリ乾電池、ニッケル水素充電池) |
| 撮影可能枚数 |
約100枚(液晶ディスプレー使用時、CIPA測定値)、約500枚(液晶ディスプレー非使用時)、単3アルカリ乾電池使用時 約360枚(同上)、約900枚(同上)、単3ニッケル水素充電池使用時 |
| 本体サイズ |
97.5(W)×41.2(D)×66.5(H)mm |
| 重さ |
約210g(本体のみ) |
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(行正 和義)
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