2000年12月1日
TV番組の鑑賞やMPEG2形式での録画、タイムシフト再生など、最近すっかり流行となったPC上での各種のTV機能を実現するTVチューナカードが、あのカノープスから発売された。2万円を切る価格で登場したこともあり、早速ショップでも人気商品となっている。
ハードウェア的には
ステレオ/音声多重に対応
今回紹介する「WinDVR PCI」は、TVチューナ付きのキャプチャカードとリアルタイムMPEG1/2エンコードソフトウェアがセットとなったパッケージで、MPEG2エンコードなど、主な機能はすべてソフトウェア側の処理で実現するタイプの製品である。
ソフトウェアでエンコードなどを行うため、必要なハードウェア環境は比較的高めとなるが、メーカーが記載している動作環境はCPUがPentiumII-300MHz、メモリは64MB以上、DirectX 7対応のハードウェアオーバーレイが可能なビデオカードが必須というもの。ただ、このレベルのCPUでは高画質の録画ができないのは明らかで、メーカーが言うところの「最高」レベルの録画には、PentiumIII-700MHzかAthlon-700MHz以上のCPUを推奨している。対応OSはWindows 98 SE/Me/2000。この種の製品としては珍しくWindows 2000を正式サポートするのはうれしい限りだが、無印のWindows 98で利用できない点には注意してほしい。
まず、TVチューナカードのハードウェア部を見ていくと、ビデオキャプチャ用として、この分野ではごく一般的なBt878互換チップを採用し、Philips製のTVチューナと組み合わせている。この組み合わせは秋葉原のパーツショップなどで販売されている1万円程度のTVチューナカードでよく見られるものだ。ただ、本カードは日本国内で放送されているステレオ/音声多重放送に対応しているのが、それらのカードとの大きな違いだ(ただし現時点では音声多重放送には未対応。ドライバのアップデートでサポート予定)。さらに、FMラジオの受信も可能である。
このほかには、カード自体背が低いタイプのものになっており、パッケージにロープロファイルPCI用のブラケットがあらかじめ同梱されているのもおもしろい。これを使えば、この形式のPCIスロットしか持たない省スペースPCにも内蔵できる。
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「WinDVR PCI」のコネクタ部。アンテナ端子が2つあるのは片方がTV用でもう一方がFM用。カードにはS-VIDEO端子が用意されるが、付属コネクタでコンポジット端子にも変換できる。 |
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カードにサウンド入出力端子が用意されており、この端子とサウンドカード内部の端子を直接接続することもできる。WinDVR PCIのブラケットにあるLINE-OUTとサウンドカードのLINE-INを付属ケーブルでつないでも問題ないが、どちらかの接続がないとTV録画時にサウンドが記録されない。 |
MPEGエンコードやタイムシフトを実現する
強力な付属ソフト「WinDVR」
TVの視聴および録画、再生などの機能は、製品名にもなっている付属ソフト「WinDVR」上ですべて行える。
まず、WinDVRを起動すると、各種操作ボタンを納めたパネルウィンドウの上に、TVのウィンドウが表示される。この時点では、TVチューナからの映像をただ単にオーバーレイによって表示するので、システムへの負荷はほとんどない。表示ウィンドウのサイズも自由に変更できるので、PC上で何かの作業をしながらTVを横目で見る、といった用途では、この状態が邪魔にならなくて便利だろう。
TV番組を録画するには、この状態からコントロールパネルの録画ボタンを押すだけでいい。ここで、録画開始までのインターバルがほとんどないのはうれしいところだ。録画する映像のサイズやビットレートは、ユーザーの環境を自動的に判断し、いくつかの設定項目の中から選んだ「普通」「良」「最良」の3パターンを用意してくれる。
それ以外の設定で試してみたいという場合には、ユーザーが自由に項目を変更できるモードも存在する。ムービーの解像度は80×60ドットから720×480ドットまでの11段階。ビットレートは固定ビットレートのみ(VBRには未対応)だが、100kbps単位でほぼ自由に設定できる。動画フォーマットはMPEG1とMPEG2の両形式。録画中にプレビュー画面を表示させることも可能だが、解像度が縦240ドットより大きい場合にはプレビュー表示は不可能になる。オーディオはMPEG Audio Layer-2(MP2)形式のみで、ビットレートは64〜384kbpsの間で11段階。なお、FATファイルシステムを利用していると、1録画ファイルあたり4GBまでの制限があるが、それでも640×240ドット/6Mbpsの設定で約1時間40分録れる。ビットレートを落とせば、その分録画時間が増えるので、実用上大した問題ではないだろう。
録画予約は、日時やチャンネルなどを手動で入力する以外に、iEPG方式にも対応している。iEPG方式はソニーの「VAIO」シリーズでも採用しているもので、「インターネットTVガイド」(http://www.tvguide.or.jp/)の番組表上にある録画ボタンを押すだけで、プログラム側に日時や番組名などの情報が転送されるというものだ。ただ、初回時のみは録画するチャンネルを手動で設定する必要がある。
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インターネットTVガイドに用意されたiEPG番組表の内容部の最後に「録画」ボタンがある。これを押すと、簡単に録画予約できるわけだ。ただし、録画予約開始時はあらかじめPCの電源が入っている必要があり、スリープモードなどでは不可能である。 |
タイムシフト再生は、録画時と同じくコントロールパネルにあるボタンを押すと、今度は10秒ほど待ったのちにスタートする。タイムシフト再生では、放送中の映像をリアルタイムにエンコードして、そのデータの一定時間分(デフォルトでは10分。変更可)をHDDにバッファとして残しながら、同時にその映像をデコードして表示する。これにより、その一定時間分の映像は前の時間に戻ったり、先の時間に進んだりして、その時点から再生できるというわけだ。
このときのバッファ量と現在再生している時間の位置関係は、コントロールパネル上部に用意されたバーで視覚的にはっきりわかる。そして、現在位置を表わすバーを左右に動かせば、手軽に時間を移動して再生を再開できる。ただし、バッファの映像に対し、高速再生や逆再生などの特殊再生を行う機能は用意されていないのは残念なところ。また、番組の録画とタイムシフト再生の両方を同時に行うこともできるが、この状態ではシステムへの負荷がかなり大きくなるので、さらに一段ハイスペックなマシンが必要となる。
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タイムシフト用のバッファを表わすバー。現在位置のバーを動かすことで、再生されている映像の時間を自由に移動できる。ただ、タイムシフトをオンにしたまま、チャンネルを変えても、以前のチャンネルのバッファがそのまま表示されてしまうというのは、ちょっと不親切な仕様では? |
CPUパワーはやはり必要
もっと高速なマシンが欲しくなりそう
さて、気になる画質と必要なCPUパワーの問題だが、これは各自感じ方に差があるので、個人的な意見として受け取ってほしい。
まず、最初にテストを行った環境はCPUがCeleron-400MHzと動作環境としてはギリギリなレベルだったが、この状態でデフォルトで用意された録画形式は、「最良」でも解像度が320×240ドットで、ビットレートは3Mbpsというかなり低いもの。ただ、この設定ならばTV番組の録画でフレーム落ちすることも、タイムシフト再生で引っ掛かりが生じることもほとんどなく、快適に鑑賞できた。録画した映像は解像度の低さから、フルスクリーン表示にすると粗が目立って、かなり苦しい感じがしたが、ウィンドウ内で表示する分にはさほど気にはならず、逆に解像度の割にはビットレートが高いので、動きのあるシーンも実にスムーズであった。
より高解像度でのキャプチャを行うため、CPUをPentiumIII-600EMHzに換装してみたところ、今度は「最良」で640×240ドット/6Mbpsの設定になった。この解像度だと、フルスクリーンに拡大しても粗は目立たず字幕類もはっきり認識できる。ただ、録画時のプレビューやタイムシフト再生では、少々動画の動きがギクシャクとした感じがした。もう1ランク上のCPUを用意するか、設定を「良」に変更し、640×240ドット/4.8Mbpsという環境にすれば、よりスムーズに利用できるだろう。
さらにPentiumIII-800MHzを搭載してみたところ、デフォルトでの設定は同じものの、720×240ドット/8Mbpsでの録画もフレーム落ち無しで可能になり、すべての作業がスムーズに行えるようになった。ただ、640×480ドットや720×480ドットなど、縦解像度を480ドットにした設定で録画を行うと、まだまだCPUパワーが不足気味な印象、かなりのフレーム落ちが生じた。これらの解像度では、タイムシフト再生や録画時のプレビューができないことを考えると、この機器では一般的に使うモードではないということなのかもしれない。
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録画品質を設定するメニュー。「普通」「良」「最良」の3種類があらかじめ用意され、さらにユーザー設定で細かく変更することもできる。 |
一方、作成されたMPEGファイルの画質は、640×240ドットや720×240ドットで録画した動画については、元のTV表示とほとんど差を感じることなく、VHSクラスのビデオよりも確実に上といっても差し支えない。ただ、元々のTVの画質にいまいちシャープさを感じないのと、動きの激しいスポーツ映像やアニメーションなど、MPEGが比較的苦手としている種類の映像をキャプチャした場合に、やはりブロックノイズが発生し、絵が粗くなる傾向があった。その場合でも、動きに引っ掛かりが生じることはなくスムーズなまま再生でき、ノイズ自体も決して激しく目立つものではない。同種のソフトウェアによるリアルタイムMPEG2エンコードエンジンの中では、かなり優秀な部類に入ることは間違いない。
価格は1万9800円。スリープ状態での録画予約など、メーカー製PCが持つTV機能と比べると機能的に一部劣る部分もあるものの、自作PCからメーカー機まで、PCIスロットとある程度のCPUパワーさえ持っていれば、あらゆる環境でTV番組のMPEG化やタイムシフト再生など、PCならではの方法でTVを楽しむことができる。iEPGによる録画予約など、付属ソフトの使い勝手もかなり良く、それでいて価格もまずまずお手頃な範囲に収まっているので、高い人気も納得の製品と言えよう。
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パッケージに含まれる付属品。本製品にはリモコンも付属する。受光部はカードのブラケット部にあるコネクタに接続。リモコンで利用できる機能は、主にチャンネルやボリュームの変更などである。 |
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FMラジオを受信できるソフト「Canopus FM Tuner」。機能的にはおまけ的なレベルのものと言えるだろう。 |
| 製品名 |
WinDVR PCI |
| 価格 |
1万9800円 |
| 対応OS |
Windows 98 SE/Me/2000 |
(岡本)
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